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皆さんこんにちは!
有限会社斉栄工事の中西です。
はじめに:FEED は“将来の自由度”を設計する段階
基本設計は、決めすぎない勇気と決め切る覚悟のバランスです。増産・改造・保全・エネルギ最適……未来の選択肢を残しつつ、現在の投資で最大の価値を生む“着地点”を見極めます。🎯
1)Design Basis(設計基準)の作り方
• プロセス条件:能力、原料スペック、反応・分離条件、安全弁設定、ベント燃焼/回収の方針。
• 建築・環境:風速・積雪・地震度、騒音目標、雨水・汚水・産廃容量。🌦️
• 防爆・防災:危険物区分、ゾーニング、避難距離、消火方式。🧯
• 保全性:“毎月触るものは直線動線に。毎年触るものはクレーン下へ。”という設計原則を言語化。
2)Plot Plan/レイアウトの“哲学”
• 高温・高圧・危険物は風下・居住区離隔、周囲は防液堤で区画。
• 回転機はクレーンレール直下、吸込は直線、配管ストレスが小さい位置に。
• 人の動き:巡回・点検・更新を 10 分短縮できる配置は、10 年で数千時間の価値。🚶
3)PFD → P&ID:運転モードまで描く
• 常用・起動・停止・洗浄の各モードで“流れ”を追う。洗浄系は一時配管の準備も含めて P&ID に記載。
• 計器レンジ:圧力・温度・流量・液位レンジは起動・停止の端までカバー。
• SIS/ESD:層防御(LOPA)を踏まえ、SIL ターゲットを設定。Cause & Effectを試験しやすい書式で作る。📄
4)コスト・工期を左右する三種の神器
• モジュール化:足場・高所・雨天の“不確実性”を工場に移す。運搬制約(幅・重量・高さ)から逆算。🚛
• 標準化:バルブ・計器・ケーブル・盤の型式を統一し、予備品と教育を軽くする。
• 先行工事:地中配管・基礎・ラック。長納期機器の据付基礎を先に固め、FAB を待たない。⏳
5)レビュー会議の運用:決めたことが現場に落ちる仕組み
• TQ/RFI 一元化:期限・責任者・決定案をシステムで可視化。メール分散は厳禁。
• ゲート審査(L1→L4):“次工程に進める条件”を数値で宣言(例:ベンダ図 90% 返却、干渉 0 件 等)。
• 設計変更(MOC):軽微・計画・緊急でルート分岐。緊急は暫定対策→恒久対策の期限セット。🔁
6)ケース:食品工場のアレルゲン管理を伴う新設ライン
• 要求:グルテン含有製品と非含有製品の交差汚染ゼロ。
• 解:原料搬入動線・更衣・計量室・配管のデッドレグ排除を FEED で徹底。洗浄バリデーションのサイクル時間を定量化し、能力計算に織り込む。結果:洗浄 45→28 分、切替ロス 38% 削減。🍞➡️🥖
7)FEED の落とし穴と回避
• 将来拡張の“場所だけ確保”:実は構造・基礎・荷重まで考慮しないと後で地獄。仮設梁・点検空間まで確保。
• 定格ギリギリ設計:ユーティリティはピーク+余裕で。電圧降下・圧力損失を“運転点”で評価。
• 人の UI:HMI 画面は運転員の巡回順で並べる。色・アラーム優先度も運転文化に合わせる。🖥️
8)FEED チェックリスト ✅
☐ Design Basis 完成(風雪・耐震・防爆・環境・衛生)
☐ Plot Plan(人・荷・クレーン・避難・将来拡張)
☐ P&ID(洗浄・一時配管・ドレン・ベント・ロック)
☐ Cause & Effect(SIS/ESD、試験しやすい体裁)
☐ モジュール化戦略・先行工事計画・標準化方針
☐ TQ/RFI・MOC の運用と SLA
まとめ:FEED は“運転と保全の幸福度”を設計する段階。決め切ることと余白を残すことの両立が、強いプラントをつくります。🌱
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皆さんこんにちは!
有限会社斉栄工事の中西です。
プラント工事は、産業用設備をゼロから立ち上げ、安定運転に載せるための総合プロジェクトです。建築・土木・機械・配管・電気・計装・防災・環境——多職種が同じ地図を見て別々の道を走り、ゴールでぴたりと合流する“駅伝”のような営み。目的はたったひとつ、計画された能力・品質・安全・コストで生産を継続させること。言い換えれば“止まらない工場”を作ることです。📈
1)全体像:上流から下流へ“川の流れ”
• 企画・FS(フィージビリティ):需要・原料・立地・法規を調べ、投資意思決定(FID)に必要な根拠をそろえる。ここでの調査漏れは、下流で雪だるま式のコスト増に直結します。💰
• FEED/基本設計:能力(t/h)、圧力温度、材質、防爆区分、ユーティリティ容量、将来拡張の余地を定義。ここで決まる“設計哲学”が、以降の正解のものさしになります。
• 詳細設計:P&ID、レイアウト、アイソメ、支持金物、SLD、ループ図まで細分化。干渉・動線・保全性をモデルで潰し込む。📐
• 調達・製作:ベンダ選定、ITP(検査計画)、立会、出荷検査、荷姿設計。納期と品質を同時に担保。🚚
• 土建・据付・配管・電計:現地の天候・地盤・周辺環境という“自然法則”と対峙するフェーズ。段取りがすべて。⛏️
• 試運転(コミッショニング):冷試→温試→性能保証。Cause & Effectを一つずつ確かめ、運転員の手と頭に落とし込む。🎛️
• 保全・運用:台帳・予備品・点検周期をセットで渡して、“引渡=安定”を実現する。🔑
2)成功の方程式=Q・C・D・S・E の“針を振らせない”
• 品質(Q):仕様と図面の合致は当然。記録(エビデンス)がその証明です。溶接、塗装、耐圧、絶縁、ループ——各試験の結果を部位に紐づけ、将来の改造時に“秒で取り出せる”状態へ。📚
• コスト(C):節約のコアは設計段階。モジュール化・標準化・ルート最短化で、高所・雨天・やり直しを削る。現場での“頑張り節”は長続きしません。🧮
• 工期(D):クリティカルパスは長納期品の基礎とモジュールが握る。図面凍結→FAB→搬入→据付の“前倒しチェーン”を作る。⏱️
• 安全(S):PTW、LOTO、KYT、TBM の文化化。安全は“空気”ではなく設計可能な成果。👷♀️
• 環境(E):騒音・粉じん・水・交通のモニタリングをダッシュボードで常時公開。地域の信頼は最大のリスク低減。🌿
3)プラント図面の読み方:言葉以上に雄弁な“設計言語”
• PFD → P&ID:物質・熱の論理(PFD)を、弁・計器・ライン番号に落としたのが P&ID。洗浄・バイパス・ドレンのモードを事前に設計しないと、試運転で詰みます。🧪
• レイアウト/3D:人・荷・クレーン・メンテの動線、避難、風向、防爆距離。“人が動ける”設計こそが名設計。🧗
• アイソメ:溶接位置、サポート、傾斜、伸縮継手。現場で安全に作れる割付になっているかが肝。🔩
4)“典型的な手戻り”と回避術
1. 干渉:3D でクラスチェック+施工順序のアニメで最終確認。足場・仮設もモデル化。🎥
2. 長納期遅延:ベンダ図レビューの SLA を数値化。差戻理由をタグ化し、詰まりの種類を可視化。📊
3. 配管ストレス:固定点の思想不足。固定→ガイド→スライドの連鎖を崩さない。🧲
4. 計装ノイズ:電力・計装の離隔・接地不備。設計・施工・試験で三重チェック。⚡
5)現場の 1 日:時間が“成果物”に変わる瞬間
• 7:45 朝礼・TBM(危険源と対策の共有)→ 8:15 段取り合わせ(クレーン・足場・同時作業の干渉確認)→ 9:00 作業開始(チェックリスト運用)→ 12:00 昼休憩(WBGT 確認)→ 13:00 作業再開(写真・点群で出来高記録)→ 16:00 片付け・清掃(転倒・落下源の撤去)→ 16:30 日報・是正(NCR/是正の即日クローズ)→ 17:00 翌日の制約レビュー。📆
6)ミニ事例:化学プラントの増設ライン
• 課題:既設稼働中でスペース制約、爆発等級 IIB/T4。搬入路は学校前を通る狭路。
• 解:フルモジュール化(ラック・ケーブルトレイ一体)で夜間 2 回の揚重に集約。近隣説明+月次レポートで苦情ゼロ。DCS ロジックはCause & Effect を現場言語に翻訳して試験。結果、休転 36 時間で切替成功。🎯
7)チェックリスト(抜粋)✅
☐ Design Basis(圧力・温度・材質・爆発・耐震・風雪)
☐ P&ID(洗浄・フラッシング・ドレン・ベントの経路)
☐ レイアウト(人・荷・クレーン・避難・騒音)
☐ 調達(ITP・ベンダ図 SLA・荷姿)
☐ 施工(WBS・吊り計画・仮設・NDE)
☐ 試運転(PSSR・ループ・C&E・PG Test)
☐ 引渡(As-Built・台帳・予備品・SOP・CMMS)
まとめ:プラント工事は“設計で勝ち、現場で取りこぼさない”競技です。人が迷わず動ける図面と段取りをつくれば、コストも品質も安全も、同時に良くなります。💪✨
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